マキアヴェッリ語録  塩野七生

 

「マキアヴェッリ語録」のおすすめ度

おすすめ度 ★★★★★
おすすめ読者層 経営者
政治や行政に関心がある

 

あらすじと感想

本書はマキアヴェッリの著書である「君主論」、「政略論」の中から、有用な部分を抜き出したものとなっています。
ワンフレーズの言葉集ですが、その言葉の背景や根拠も併記されているので、マキアヴェッリの考え方を正確に理解する事が出来、読みやすく分かりすく、マキアヴェッリを知るには最良の書籍といえます。

本書を読めば、マキアヴェッリは人間の本質をズバリ突いていることが分かります。
善を行い人徳が高いことは理想ですが、指導者や政治家は理想に囚われることなく、常に現実的な判断をしなければならない。つまり、マキアヴェッリのように冷淡に現実を直視し実行することが重要だということが分かります。

また君主をリーダーや経営者に読み替えることで、経営者としての考え方にも応用が利きます。本書はマキアヴェッリの凄さを理解できる最高の名書です。

「マキアヴェッリ語録」より引用

自らの安全を自らの力によって守る意志をもたない場合、いかなる国家といえども、独立と平和を期待することはできない。
なぜなら、自ら守るという力量によらずに、運にのみ頼るということになるからである。
「人間世界では、自らの実力に基盤をおかない権勢や名声ほど頼りにならないものはない」(タキトゥス)とは、いつの世界でも応用可能な賢い人々の考えであり、評価であったと思う。

何千年もの歴史が証明している通り、国家間の争いや交渉で優位に立ち、また最終的に勝利するには力が必要ということです。ここでいう力とは軍事力のことです。

民衆の立場であれば理想論を振り回しても良いでしょうが、為政者、特に国家指導者は理想ではなく現実を直視しなければなりませんね。

これを人間社会に当てはめて考えても、対話や交渉、親切な心だけで万事上手くいくとはないという話で、時には力が必要です。
人間社会でいう力とは、権力やお金のことになります。

マキアヴェッリ語録のポイント

君主にとって、術策など弄せず公明正大に生きることがどれほど賞讃に値するかは、誰もがわかっている。
しかし歴史は、信義を守ることなど気にしなかった君主のほうが、偉大な事業を為しとげていることを教えてくれる。

愛されるよりも怖がられるほうが、君主にとっては安全な選択である。なぜなら、人間には、怖れている者よりも愛している者のほうを、容赦なく傷つけるという性向があるからだ。

謙譲の美徳をもってすれば相手の尊大さに勝てると信ずる者は、誤りを犯すはめにおちいる。 

側近に誰を選ぶかは、君主にとって軽々しく考えてよいことではまったくない。君主が思慮深いかそうでないかによって、優れた人材が登用されることになったり、無能な側近に囲まれることになったりするからである。
側近が有能であり誠実であれば、それを選んだ君主は賢明な人と言うことができよう。なぜなら、人間というものを熟知しており、その人間の能力を活用することを知っているという証拠だからである。